ライブラリー

2025年8月12日(火)

空を撮る 京都橘大学 藤原麻有

「あのくも、恐竜みたい!」

親子の会話が聞こえてきて、ふと空に目をやった。

(ほんとだ、恐竜に見える。。。)

子どものころ、雲のかたちを眺めて「これ、○○に見えるね」「あっちは△△だね」と家族に話していた記憶が蘇る。どれも正解で、どれも間違いじゃない。その自由さが楽しい。

 

通勤途中やふとした散歩中、ベランダから見える空。

見上げた瞬間なんでもない空でも、「あ、これ撮っておこう」と指が反応してしまう。

青空も夕焼けも、雲のかたちも、その日によって全然違う。

空の写真をよく撮るのは、今もあの頃の感覚が続いているのかもしれない。

家族や友人からも

「見て、綺麗じゃない?」「何に見える?」って、ぽんっと送られてくる空の写真。

夕日だったり、もこもこの雲だったり、街の隙間からのぞく青だったり。

写真にそれぞれの“その人らしさ”が滲んでいて、なんだか楽しくなる。

 

一方で、

「…あ、撮るの忘れた。まぁ、いっか。」

カフェでスイーツが出てきて「わ〜可愛い!」って思った次の瞬間には、フォークが動いている。

食べ終わる直前に誰も撮っていなかったことに気付くのも、セットでついてくる恒例行事。写真はないけれど、 “美味しかった記憶”は不思議とちゃんと残っているもの。

スイーツは撮り忘れても、空はつい撮ってしまう。

感覚的に「残しておきたい」がそちらへ傾くらしい。

…とはいえ、「空ばっかり撮る人」にならないように、次こそスイーツにもレンズを向けて記録に残そうとは思う。たぶん。知らんけど。