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2025年5月27日(火)

山だ!ゆきだ! 京都府立医科大学附属病院 山田幸司

 私は山田幸司です。初見の場合、ほぼ100%の確立でヤマダコウジさんと呼ばれます。最近は訂正するのが面倒なので「はい」と返事をしますが、ヤマダユキジなのです。
 名前に、「山」と「ゆき」が入っているから…‥というわけではないのですが、山登りとスノーボードをやっていました。趣味はと聞かれるとそのふたつを挙げます。
 当時は、職場の仲間たちと金曜の仕事終わりに出発して、長野や新潟のスキー場で週末を過ごすのが楽しみでした。

 

 夏は夏で、一回り年上の先輩と山に登り、温泉でひとっ風呂浴びて帰るらくちん登山を楽しんでいたのですが…。

  

 その先輩、じつは刺激を求めるタイプで、「山(私のニックネーム)、次は雪山行こか!」と誘ってくるのです。私の頭の中では、「雪山=危険」のイメージがあるので、「やめときます」とずっと断っていました。

 ある日、先輩から紙袋を渡され、中をのぞくと「ビーコン」が入っていました。ビーコンとは、雪山で雪崩に巻き込まれたときに、ビーコンからの電波で自分の居場所を知らせ、遭難者を掘り出すという代物です。「マジっすか?」という私を先輩は無理やり雪山に連れだします。

 スキーを担ぐ先輩、私はスノーボードを背中に背負い、霊山立山を2時間ほど無言でひたすら登ります。(写真1)

 

 見晴らし良い中腹で休憩。突然、先輩は、「1本目いこか!」と言いつつスキーを装着。その頃には、私もハイテンション。はやる気持ちを抑えながらスノーボードを装着します。(写真2)


 フワフワの雪の上で浮いているかのような滑り心地、空と雪面の境界が不明になり、自分が垂直なのか、傾いているかもわからない状態になります。その時には転びます。自分の姿勢とスピードをコントロールできなくなるので、わざと転びます。

2時間登って滑走は10分弱です。それを1日数本繰り返します。現代社会ではあり得ない「タイパ」の悪さですが、それをはるかに上回る雪山の魅力が味わえます。

 

 皆さんも仕事や生活の中でうまくいかなくなって、自分のバランスが取れなくなった時には、無理に踏ん張らずに転んでみるのもありかもしれません。それでも無理な時には「ビーコン」で電波を出してください。きっと周りの人達が掘り起こしてくれますよ。