
今年もまた、ひらひらとアゲハ蝶が庭にやってきた。
せっせとレモンの木の葉に卵を産みつける、夏の風物詩だ。
昨年は幼虫たちに木を丸裸にされたため、今年は枝を少し切って、玄関横で飼育することにした。木を守りつつ、彼らの成長を近くで観察する試みだ。

初めは小さな観察箱を使用していたが、各成長段階の幼虫が一堂に会する大家族となり、あっという間に手狭になった。急遽ダンボール箱を用意した。

いつしかそこは「アゲハ荘」と呼ばれるようになった。
毎日の庭の水まきついでに、アゲハ荘の掃除、葉っぱの入れ替えが日課となる。

そしてある日突然、鮮やかな緑色に大変身し、まるまると太った愛らしい姿になる。
あんなに虫が苦手だったはずなのに、その姿には不思議と愛着がわき、「がんばれ!」と心の中で応援している自分がいる。
いまだ羽化の瞬間を見たことがない。

卵からかえったばかりの幼虫は、数日のうちにぐんぐん大きくなり、いつの間にか脱皮を繰り返す。
その神秘的な瞬間をいつか見てみたい気もするが、見なくても良いようにも思う。アゲハ荘の管理人として、場所を提供することが、私の夏の役割なのだから。レモンも無事だし・・・。
