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2025年9月29日(月)

夏の仕事「アゲハ荘」の管理人 亀岡市立病院 原健介

 今年もまた、ひらひらとアゲハ蝶が庭にやってきた。

 せっせとレモンの木の葉に卵を産みつける、夏の風物詩だ。

 昨年は幼虫たちに木を丸裸にされたため、今年は枝を少し切って、玄関横で飼育することにした。木を守りつつ、彼らの成長を近くで観察する試みだ。

 

 

 

 

 初めは小さな観察箱を使用していたが、各成長段階の幼虫が一堂に会する大家族となり、あっという間に手狭になった。急遽ダンボール箱を用意した。

 

 いつしかそこは「アゲハ荘」と呼ばれるようになった。

 毎日の庭の水まきついでに、アゲハ荘の掃除、葉っぱの入れ替えが日課となる。

 そしてある日突然、鮮やかな緑色に大変身し、まるまると太った愛らしい姿になる。

  

 あんなに虫が苦手だったはずなのに、その姿には不思議と愛着がわき、「がんばれ!」と心の中で応援している自分がいる。

 

 いまだ羽化の瞬間を見たことがない。

 

 卵からかえったばかりの幼虫は、数日のうちにぐんぐん大きくなり、いつの間にか脱皮を繰り返す。

 その神秘的な瞬間をいつか見てみたい気もするが、見なくても良いようにも思う。アゲハ荘の管理人として、場所を提供することが、私の夏の役割なのだから。レモンも無事だし・・・。